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当事者同士のひびきあい

執筆者の写真: ayagon49ayagon49

先日の大津市障害者自立支援協議会の大津圏域合同新人研修で、「すごいなあ」と感じたこと。それは、障害は違うけど、当事者である人たちの響きあい。


合同新人研修に当事者の方を講師にお迎えしているのは、新人の参加者に当事者の生の姿から感じ取ってほしいことがあるから。

それは「当事者主権」「人権」ということ。「人権」という、堅苦しいと感じられてしまうことをどのように、体感してもらうか。


私が100回「人権は大切です」っていっても伝わりきらないであろうことを当事者の力を借りて伝えていく学び合いの空間を作りたいと思っていた。


つまり、企画の意図は「当事者⇔参加者」の響きあいだったのだけど、「当事者⇔当事者」の響きあいもそこでは起こる。当たり前といえばそうなんだけど、すごいなあと感じた。


今回も私はいつも一緒に講演している知的障害のあるYさんと一緒に発表をした。


その発表を聞いた50代の精神障害の当事者の方が、感銘を受けて、講演後のYさんにたくさん質問をされていた。


そしてご自身のブログにそのことを書かれていた。書いたことも私に報告してくださった。

その方のブログ


彼自身が、自分が出会ってきた過去の支援を振り返りながら、


「みんなに同じ生き方を強いたこと(その当時の1人の作業所職員が“障害者は働かなくていい”と皆にポリシーを押しつける投稿を繰り返した)ーこれが誤りであったと思います 人それぞれの生き方、リカバリーがあり、精神の多様性、障害の程度問題、家庭の経済事情、等いろいろあるが、失敗を繰り返して成長するモデルは知的とも同じだと思う点もあり、Yさんの生き方に“生きる生命力”というものを感じたので、精神のめげがちな傾向に大きな一石を投ずるのでは」とメールをくださった。


私はYさんと講演するときはいつも、彼の生き様を、生きる力を、伝えたいと思って講演している。


そして、それが育まれたであろう1960年代の近江学園の実践や、Yさんが出会ってきた支援者や地域の人々の話をしている。持って生まれた力だけではなく、彼にかかわったたくさんの人たちの存在なくしては育まれなかった力だと思っている。


Yさんが一人暮らしをしたいといった時に、発達相談の先生が言ってくれた言葉を思い出す。


「Yさんの長い歴史の中で、お互いには顔も知らない支援者たちがつないできた


<肯定的なかかわり>

<時間をかけてゆるやかに支援>

<裏切らない>


ということが、長い時間の経過の中で確実に「もっともっと」というYさんの前向きな自己変革の要求を育んできた 。それが63歳にして「一人暮らししたい」という夢に結実したんですよ。」


自分たちが支援者としてどのように本人さんたちとかかわっていったらいいのか、Yさんの生きる姿が教えてくれる。


それは、私は支援者にだけ届くものだと思っていたが、当事者の方にも伝わるということがわかった。


彼がブログに書かれた「Yさんは、人生が展開する良好な支援関係に恵まれていて羨ましくも思いました。」という言葉に、何とも言えない気持ちになった。


私たち支援者と呼ばれる人間のあり方を問い直し、背筋がピンとする気がしました。

 
 
 

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