今日は「障害のある人の意思決定支援」をテーマにした研修で講師をさせていただきました。
私が大学生のころは「自己決定の尊重」が強く言われていました。そうだ!自分で決めることが大切だ!と私も強く思っていました。そして、働きだして、知的障害のあるトモコさん(仮名)とのやり取りの中で、私は「自己決定」について悩み始めました。
ある日、私はトモコさんの19歳の誕生日の個別外出で「おいしいもの食べに行こう!」と出かけました。私は、ここは自己決定の尊重だ!と「なに食べたい?」と、トモコさんに聞きました。
トモコさん「ラーメン!」
私「ラーメンもええなあ。他には?」
トモコさん「チャーハン!」
私「それもええなあ。誕生日やし、もっとごちそうでもええねんで。」
トモコさん「餃子!」
私「餃子もおいしいなあ。でも、せっかくやし、お寿司とかでもええねんで」
トモコさん「…お寿司ってなに?」
小さな頃から乳児院で育ち、その後も18歳まで養護施設で育ったトモコさんはお寿司を食べたことがなかったのです。
その時に私は思いました。「経験していないことは選び取れないんだ。」
自己決定をするためには、さまざまな経験があり、その中から「これがいい」と選ぶ。障害のある人は、そもそも選ぶための経験が圧倒的に少ない。
それ以来、「体験」「経験」を作っていく事を、私たち支援者のとても大切な仕事だとして取り組んできました。(この日もトモコさんとお寿司を食べに行きました。)
今日も、このエピソードを話して、意思決定を下支えする「経験」についてもお話をしました。
時間配分がうまくいかず、グループワークの時間を少ししか取れなくて申し訳なかったです。
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